半末本

とあるアニメ好きの塾講師がアニメレビューや考察をしていきます。記事を読んでいただいたみなさんが新しい知見を得られることができればと思い、アニメから学べることを主に書いています。インスタ→http://Instagram.com/zikkamm

『とある科学の超電磁砲』都市伝説:幻想御手(レベルアッパー)とパーソナルリアリティについての考察

こんにちは。

とある科学の超電磁砲』が好きで、何度も見ているブログ主です。

超電磁砲と言えば、やはり都市伝説!(笑)

この都市伝説抜きでは物語が進展しないと言っても過言ではありません!(笑)

どんな都市伝説があるかは4話で語られています。


【4話で言及された都市伝説】

・いきなり脱ぎだす女、脱ぎ女。

風力発電のプロペラが逆回転するとき、街に異変が起きる

・夕方4:44に学区をまたいではいけない。幻の虚数学区に迷い込む。

・使うだけで能力が上がる、レベルアッパー。

・どんな能力も効かない能力をもつ男。


これらはあくまでネット掲示板に書き込まれた都市伝説です。

が、初春が続けて言います。

「本当に起きた出来事が形を変えて噂になっている場合もある」と。


今回はその中で、幻想御手(レベルアッパー)を取り上げます。

 

【レベルアッパーに関する事件】

◆レベルアッパーが実在すると分かるまでの経緯

使うだけで能力が上がると言われている、レベルアッパー。その珍妙さから都市伝説として扱われていました。


ところが、事件を起こした人物の能力のレベルとバンクに記載されているレベルと差があることから、黒子たちは不審に思うようになります。

・第1話の銀行強盗を起こしたパイロキネシスト。

・第3話の常盤台狩りの眉毛女。

・第7話が中心のグラビトン事件。 etc..

第8話で再び佐天さんからレベルアッパーの話を聞いて、もしかしたら本当に闇でレベルを上げるものが取り引きされているのではないかと考えるようになります。


そこでネットを調べてみると、実際にレベルアッパーを使用している連中の溜まり場があることわかります。連中から話を聞き出そうと動き出しました。この時点で細かい話は聞き出せませんでしたが、本当に使われてるのではないかという可能性は一気に高まりました。


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(出典:公式ホームページより)


そして、事件が起こります。グラビトン事件を起こした犯人が昏睡状態になって入院しているということを聞きます。そして、その入院しているリストの中にはあの常盤台狩りの眉毛女の姿も…!これでいよいよレベルアッパーの存在が確実なものに近づいてきました。


◆レベルアッパーは実在する!その製造目的は?

そんな中で佐天さんは音楽ダウンロードのサイトの隠しリンクからレベルアッパーを見つけてしまいます。ところが、レベルアッパーを所持している人は副作用の危険性を考慮して保護されているということを聞いて、黒子たちには言えず、隠し持って使ってしまいます。


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(出典:公式ホームページより)


黒子はレベルアッパーを所持していた男からレベルアッパーは音楽であることを聞きますが、佐天さんが実際にレベルアッパーを持っていることをまだ知らないということもあり、本当かどうかまだ疑っている状態です。

ところが、レベルアッパーの本体である音楽プレーヤーが聴覚を刺激するのと同時に他の五感にも刺激を働きかけることができれば(いわゆる「共感覚性」)、あり得る話であるということに気づきます。

また、医者(御坂曰くリアルゲコタ(笑))の話によれば、レベルアッパーを使用している人の脳波パターンが一致していることから、誰かに無理矢理脳を弄くられていて、そのことから人体に影響を与えているのではないかということを聞きます。

御坂と黒子はジャッジメント支部で固法先輩と話をする中である重要なことを発見します。それは、単独では弱い能力しか持っていなくても、ネットワークと一体化することで、能力の処理能力が向上する。そのネットワークの構築の役割を果たしているのがレベルアッパー。そして、AIM拡散力場(=能力者が無自覚に発する微弱な力)によって、同系統の能力者の思考パターンが共有されることで、より効率的に扱えるようになる。そうして、バンクを調べることで脳波パターンが一致した人物が大脳生理学者の木山春生…!つまり、この木山がレベルアッパーを使って事件を引き起こしていたということが分かります。


木山はレベルアッパーで集まった脳波を演算装置として、学園都市最大のツリーダイアグラムの代わりに用いようとしていました。

木山はなぜレベルアッパーを用いて1万人もの脳波を集めたのでしょうか?

能力の暴走条件を調べるために人体実験とされた子供たちを助けるためです。彼らはチャイルドエラーといって、身寄りのない子供たちで、木原幻生という科学者によって預かられていました。ところが、彼はマットサイエンティストで、表向きは子どもたちのAIM拡散力場の制御をするという名目で裏では暴走能力の誘発実験を行っていました。子どもたちはそのモルモットにされていたのです。子供たちを助けるためには学園都市最大の演算装置であるツリーダイアグラムが必要なので、木山はその使用許可を23回申請したのですが、全て拒否されてしまいます。学園都市の上層部の統括理事会がグルになっているのを知り、自分の力で子供たちを助けるためにツリーダイアグラムの代わりとなるものを生み出そうとしました。それがレベルアッパーです。1万人もの脳波が集まれば、ツリーダイアグラムと同程度の演算装置になり得るであろうと考えたのです。


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(出典:公式ホームページより)


ところが、そのことを知らない御坂によって木山の思惑は止められてしまいます。すると、今度はネットワークが暴走し、木山の元から離れていきます。それは、レベルアッパーによって束ねられた触媒となって生まれた潜在意識の怪物の姿となって、表に顔を出してきます。アンチスキルが交戦するも全く歯が立ちませんでしたが、レベルアッパーの治療プログラムと御坂の超電磁砲によって怪物は倒されます。そのことによって事件は一旦収束を迎えました。f:id:sv5010401820:20200524162619j:image

(出典:公式ホームページより)

 

 


【考察】

みなさんは、このレベルアッパーの話を通してどのように感じられましたか?

私は、

「自分との向き合い方」

ということを感じました。それについて、以下述べていこうと思います。


★なぜレベルアッパーを使用してしまったのか?

レベルアッパーは、ツリーダイアグラム代用となる演算装置として、実験体にされた子供たちを助けるために木山春生によって開発されました。レベルアッパーを使用した人たちの脳波を制御します。

しかし、使用者側は自分の能力が簡単に上がるという甘い話に疑いもせずに乗っかり使用してしまいます。佐天さんも躊躇しながらも結局使用してしまいます。

なぜ彼らはレベルアッパーを使用したのか?


作中で「パーソナルリアリティ」という話が出てきます。

初春曰く「思い込みや信じる力などの強い気持ち」で、超能力の基盤になるものです。「自分はできるんだ」という自己肯定感のようなものです。

このパーソナルリアリティを正常に持てていれば、努力をして能力を自分自身の力で上げていきます。その最たる例が御坂美琴。彼女は今でこそレベル5ですが、最初は平凡なレベル1でした。それが、並々ならぬ努力によってレベル5に上がったことが作中でも言われています。

ただし、能力を上げようと頑張ったとしても、上げられない人もいます。最初は夢見て学園都市に来たのに、全く能力が上がらずに、落胆してしまいます。恐らくその度に「いや、もっと頑張れば自分はできるはず」という気持ちを持つでしょう。ところが、それが何度も続き、成果が全く上がらないことが分かると、その信じる気持ちはプツッと途切れてしまいます。パーソナルリアリティが消失してしまうということです。そして、自分は結局頑張ったって無理という喪失感に変わります。でも、能力は上げたい。その結果、紛い物と分かっていても他人者である「レベルアッパー」に手を出してしまうのではないかと考えられます。佐天さんも、他人には気にしていない素振りを見せながらも内心では自分がレベル0であることをかなり気にしていました。そして、ズルであると分かっていながらも、能力者に憧れてつい使ってしまいました。

このように、パーソナルリアリティが無くなり、自己の力では能力を上げることができないと感じてしまったので、レベルアッパーにすがってしまったのだと考えられます。

 


★レベルアッパー使用を通じて

ところが、レベルアッパーを使用した人たちは昏睡状態に陥ってしまいます。

御坂や初春たちによって、意識は取り戻されます。その中の1人の佐天さんは意識を取り戻したあと、初春にこう伝えます。

能力なんかよりも大事なものを失うところだった。

レベルアッパーの使用を通じて、佐天さんは能力以外に大事なものの存在に強く気付かされます。

そして、第14話「特別講習」で、佐天さんはパーソナルリアリティについて再考します。

「自分の、自分だけの現実」とは何なのか?御坂や黒子、初春の顔が思い浮かばれます。

「能力が無かったとしても、彼女たちと一緒にやり遂げていく。そのために自分が出来ることも何かあるのではないだろうか。それを見つけるためにももう一回頑張ろう。」

という気持ちになったのではないかと思います。


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(出典:公式ホームページより)

 

そんな思いで大活躍したのが、第24話「Dear my friends」。

キャパシティダウンという能力者が不快に感じ能力を上手く使用できなくなる武器にみんながやられている時に、佐天さんは動き出します。そして、キャパシティダウンを発している管理室に行き、それをバットで叩き壊して、みんなを助けます。これはもう佐天さんだからこそ出来ること。そして、何より能力が無い自分にもきっと出来ることはあるはずというパーソナルリアリティを獲得していたからこそ成せた行動なのだと思います。このシーンは本当に何度見ても心がスッキリします。

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(出典:公式ホームページより)

 

 

★私達の世界でのパーソナルリアリティ

私達の世界でも同じようなことが言えるのではないでしょうか。学園都市が能力至上主義であるなら、私達の世界は学歴至上主義。能力者が進学に有利なのと同じようにして、私達も偏差値によって進学の選択肢が絞られる。また、学歴によって就職先に有利になるかどうかも変わる。でも、実際は勉強だけではないはず。それ以外のことで生きている人もいます。私達塾講師は勉強が出来てなかったら、生徒に教えられないですが(笑)

自分にできることは何なのか。超電磁砲でいう「パーソナルリアリティ」です。それを見つけるのは簡単なことではないと思います。でも、色んな経験をすることによって、自分の得意なこともわかり、それが徐々に見えてくるのではないかと思います。私の場合はアニメが好きなので、こうしてアニメを見て感じたことをブログで書いて、読む人に何か少しでも新しく感じてもらえることがあればと思っています。それが自分に出来ることではないかと思い、行動を続けています。なかなか毎日は更新できないですが(笑)

 

 

 

まとめ


レベルアッパーの事件は、パーソナルリアリティを考える機会を与えてくれたのではないかと思います。

みなさんのパーソナルリアリティは何でしょうか?それを一度深く考えてみてもいいと思います。そうすれば、自分の限界を突破して、何か新しい自分に出会えるかもしれませんジャン!


何よりここまで深く考えさせられる超電磁砲、本当に面白いです!!私も引き続きアニメブログを続けていこうと思います!