半末本

とあるアニメ好きの塾講師がアニメレビューや考察をしていきます。記事を読んでいただいたみなさんが新しい知見を得られることができればと思い、アニメから学べることを主に書いています。インスタ→http://Instagram.com/zikkamm

『キノの旅』第3話「迷惑な国」〜アニメから読解力を鍛える〜

こんにちは。

アニメから読解力を鍛えるコーナー、第3弾です。今回も『キノの旅』を題材にして、内容把握の練習をしていきましょう。

 

 

キノの旅』とはどんなアニメ?

旅人のキノが相棒でモトラド(モトラート・ドイツ語で二輪車の意味)のエルメスと旅をしながら、様々な国を巡るという短編、1話完結型のファンタジーである。キノとエルメス以外にも、「師匠と相棒」「シズと陸」「フォトとソウ」が主人公となる話があり、他にもこの4者以外が主人公の話も稀にある(具体的なことは#各話一覧や下記参照)。基本的にはキノら旅人が、毎話、独特の制度や技術、価値観を持つ国家や国民と関わるというストーリーで、そこに寓話の要素を持つ。本作はライトノベルにおける「寓話的異世界物語のさきがけ」という評価もある。作者は、松本零士の『銀河鉄道999』がこの作品の根源にあると語っている]。また、時雨沢曰く、「読者層は小学生から高校生辺りが主であるため、難しい表現はなるべく避けている」という。(Wikipediaより)

 

原作がライトノベルです。上記にあるように、難しい言葉があまり使われておらず、内容の吟味に専念できるのではないかと思います!

 


第3話「迷惑な国」について


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(出典:公式ホームページより)


U-NEXTや、dアニメストアで配信されています。視聴をされたあとに、以下の質問に答えていってください!今回は3問です。

※グロテスクなシーンも含まれている話になるので、視聴の際は気をつけてください。

 

 

Q1.丸ごと移動している国に出会うキノ達。その国はなぜ移動を続けている?理由を2つ。

A1.

・移動を長い間止めていると、移動にかけるエネルギーが余ってしまうので、消費して余らせないようにするため。

・色々な景色、変わってゆく景色が好きで、国民全体で旅をしているような感覚がするから。


Q2.なぜこの話のタイトルは「迷惑な国」か?迷惑の事象が語られていることを基にして3つ。

A2.

①常に移動する国が、移動していく中で、豊かな大自然に足跡をつけて、迷惑をかけているから。

②土地を整えていた国も、通り道であるなら躊躇なく踏みにじんで、他国の国民に迷惑をかけているから。

cf)相手の国が移動する国に対して「迷惑」という言葉を使ったことに注目。

③防壁を守ろうとしていた国は、高い城壁を作って、通ろうとする者から高い通行料を取っていて他国の人に迷惑をかけていたと考えられるから。

cf)エルメスが最後の場面で、「迷惑な国は両方である」と意見を述べていた場面に注目。

 

Q3.キノ達を案内した公務員の人は、迷惑ということに対してどう考えている?

A3.どんな人間でも、どんな国でもある程度他人や他国に迷惑をかけて生きていると考えている。

 

 

【考察】

・そもそも「迷惑」って、何?

タイトルにもある、「迷惑」という言葉。「迷惑」とは、そもそもどういうことなのでしょうか?

 

ある行為がもとで、他の人が不利益を受けたり、不快を感じたりすること。また、そのさま。(goo辞書より)

 

相手が「迷惑」と感じるかどうかは、その人が不快感を持つかどうかによって変わります。


相手が不快を感じたら、それはどんな行為であっても、「迷惑」になってしまいます。

先程のQ4の②と③の解答では、明らかに誰かが不快に感じているということを示唆しています。②では、横切られた国の司令官がはっきりと「迷惑」だと言っています。自分たちが作り上げた国を踏み潰されて不快感を持ったために、「迷惑」だと感じています。

ただし、この国も「迷惑」をかけているとエルメスは言っています。その相手は、この国を通行する人たち。通行する人たちはこの国を横切るために高い通行料を支払わされるということに対して不快感を抱き、「迷惑」を受けているのではないかということです。


ただ、逆に相手が不快感を持たなければ、それは「迷惑」ではなくなります。

それは、キノがエルメスから「キノがライフルを構えている姿が壁画になる」と言われたことです。キノはそのことに対して、恥ずかしいとは言っているが、「迷惑」とは感じていません。それは、キノが移動する国に対して、良い印象を抱いており、そこに自分が英雄として讃えられても悪い気はしないからだと考えられます。つまり、不快感を感じなければ、それは「迷惑」ではないということです。

 


「迷惑」はかけてナンボ!?

じゃあ、相手が不快感を一切感じないように、「迷惑」を全くかけないほうがいいのか?
A3.にもあるように、この話ではどんな人でもある程度「迷惑」をかけながら生きているものだということが伝えられています。

そこで私が思い浮かんだのが『SHIROBAKO』というアニメの、第22話の井口さんのセリフです。「なるべくご迷惑をおかけしないよう、頑張ります」と後輩から言われたときに、「ご迷惑をおかけしますが、宜しくお願いします」というセリフで返したところです。

まずは、やってみないと分からない。それで他人に迷惑をかけたとしても、そこから更に良いものが生まれるのなら、迷惑をかけたって大丈夫。なるべく迷惑をかけないようにって思いながら仕事をしていたら何もできない。

そんなメッセージを井口さんは伝えているように感じられます。すごく心に突き刺さる言葉。

 

人は少なからず迷惑をかけて生きている。迷惑を一切かけない人なんていない。だからこそ、迷惑をかけまいとするのではなく、迷惑の先にどんなものを得るのかということを考えていく必要があるのではないかと感じました。

だから、この『キノの旅』の移動する国のように、相手に迷惑をかけるのを必要以上に恐れてはいけないというわけですね。

 

 

 

まとめ

以上、『キノの旅』第3話でした。

今回は、タイトルに使われている言葉から少し考察を深めてみました。『キノの旅』では、普段何気なく使ってる言葉の意味についても掘り下げてくれるものではないかと思います!