半末本

とあるアニメ好きの塾講師がアニメレビューや考察をしていきます。記事を読んでいただいたみなさんが新しい知見を得られることができればと思い、アニメから学べることを主に書いています。インスタ→http://Instagram.com/zikkamm

アニメ『新世界より』を最後まで見るべき3つの理由〜メッセージが強く表れる作品!〜

こんにちは。

塾の方は、通塾とオンラインが同時に走り、バタバタです(笑)最近、全然更新できてなかったです。。久々の更新です!

今回は『新世界より』というアニメを取り上げます。この作品は、U-NEXTでたまたまオススメに上がったていたので、何となく観てみたら、これがすごく面白かった!!特に後半部分が引き込まれていってしまいましたね。

ただ、すごく名作だと言われてるのに、敬遠されがちなこの作品。「作画が何か変」「鬱な展開ばかりで見ていて嫌になる」と感じて、最後まで観ずに切ってしまう人もいるらしいです。。何と勿体ない…!!

折角の名作だからこそ、一人でも多くの人にこのアニメを観てほしい。そこで、今回は、『新世界より』を最後まで観た方がいい理由を伝えていこうと思います。まだ全く観られていない人も、この記事をきっかけに、アニメを観ていただけると嬉しいです!


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(出典:公式ホームページより)

 

 

 

1.独特の世界観!

この作品は本当に世界観が独特で、ものすごく引き込まれていきます。

 

1-1 独特の舞台設定

舞台が1000年後の日本。超能力(この作品では呪力と言われる)が当たり前の時代になっていて、学校も呪力の教育がメインとなっています。

じゃあ、1000年後ということもあって、科学も発展し最新技術が使われ、そこら中に高層ビルやAIが蔓延っているのかと想像されるのですが、それが全然違うんですね…!

周囲は田園だらけで、高層ビルなんて1つもない!私は周囲が自然に囲まれた中で育ってきたのですが、その景色を彷彿させるような、「ザ・田舎!」という風景なんですね。まずその設定だけで普通と違って面白い!


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(出典:公式ホームページより)

で、何でこんな田舎な状態なのか?呪力(超能力のこと)がまだ大人全員が使える時代ではなかったとき、呪力を持つものと持たないものによる大規模な戦争が起こって、様々なものが失われてしまったというのが理由みたいです。

この舞台設定を聞いて、このアニメはある意味『とある科学の超電磁砲』の舞台の成れの果ての姿ではないかと感じました。『とある科学の超電磁砲』は、『とある魔術の禁書目録』という作品のスピンオフ作品で、舞台が学園都市と呼ばれる科学が大発展した『ザ・科学都市』です。ここでは超能力の教育や研究が行われているのですが、全員が超能力を使えるわけではありません。レベル0、いわゆる無能力者もたくさんいます。この作品の中でも、無能力者と能力者の対立が見られる場面があり、無能力者が能力者を倒そうと非合法な手段を使っているシーンもあります。作中に出てくるそれらの争いは規模としては、そこまで大きくないですが、これがやがて大規模になってしまうと、『新世界より』のような戦争が起こり、今(1000年後の日本)のような状況になってしまうのではないかと想像しました。

 

1-2 独特の生き物


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(出典:公式ホームページより)

この作品には、「化けネズミ」と呼ばれる獣が登場します。その見た目が何とも独特…!彼らは人間と同じく知能を持っています。この化けネズミが人間世界に多大な影響を及ぼしていきます。

 

 

 

2.伏線がしっかり回収される!

序盤は正直、意味不明なところが多いです。初見だと「?」がいっぱい浮かびます。それらが後半になってきっちり回収されます。しかも、絶妙なタイミングで!

 

2-1 日本の歴史について


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(出典:公式ホームページより)

大量に伏線として張られるのが、第4話。そこで、子供たちはなぜ日本が現在のような姿になってしまったのか、その歴史を知ることになります。ここで大量に情報が与えられるのですが、実は大事な部分が抜けています。ここが終盤になって、明らかにされます。「?」が「!」に変わる瞬間があります。その真実を知ったときの喪失感はハンパなかったです。。

 

2-2スクィーラの挙動不審な動き
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(出典:公式ホームページより)

この作品では、人間たちが住む世界の外に、化けネズミと呼ばれる獣も日本に住んでいます。人間と獣は八丁標と呼ばれるしめ縄で隔離されています。子供たちは八丁標の外に出て、化けネズミたちが住む世界に行くシーンがあります。先程の日本の歴史を知ったのも八丁標の外での話です。子供たちは歴史を知ったあとに化けネズミに出くわします。化けネズミは知能を持ち、集団でコロニーを形成しています。人間の言葉もしゃべることができ、人間に対してとても従順で、忠誠的です。その中でスクィーラという名前の塩屋虻コロニーを形成している棟梁に子供たちは出会います。化けネズミは外来種もいて、そいつらは人間を襲ってくるのですが、塩屋虻コロニーを形成する化けネズミは在来種で、人間の味方になってくれます。ただ、その棟梁であるスクィーラの行動が実は挙動不審なのです。安全な道を連れて行くと言いながら、外来種の化けネズミが大量に出てくる危険な場所であったり、一緒に戦っている間に急に逃げたりします。これが第5〜7話の話ですが、以降も度々このスクィーラは登場し、不可解な点を見せつけてきます。スクィーラーの目的が徐々に判明し、最後の方では、「マジか!!」と言いたくなるようなことも発覚します。一体スクィーラーは何を目的に動いていたのか??

 

2-3 「偽りの神に抗え」

この作品のキャッチコピーである、「偽りの神に抗え」という言葉。「偽りの神」とは一体誰のことなのでしょうか?作品を観ていくに従って、この言葉の真の意味が分かってくると思います。「確かに!」となるはずです。

 

 

 

3 製作者の強いメッセージが感じ取れる!

このアニメはキャラクターよりもストーリー性に重きを置いています。その分、製作者が伝えたいメッセージも大きくなります。ここでは、ネタバレにならない程度に製作者(原作者含む)のメッセージを考察していきます。

 

3-1 今後の日本の姿を警句?

アニメの中では実際に舞台となる場所の名前をもじっていたりすることがあります。ただし、このアニメの中でははっきりと、「1000年後の日本」であったり、「茨城県」や「利根川」、「東京都」というように現実世界の場所の名前がそのまま使われています。アニメの中の舞台である「神栖66町」は、茨城県の「神栖市」であり、町と市が異なるだけです。いわゆる、よく使われるパラレルワールドとは違うものです。このことに関して、原作者(小説)の貴志さんは以下のように語っています。

あくまでも現代の我々の社会と地続きで、この世界が出来上がったという設定にしたかった。

(公式ホームページより)

ある意味、日本がこのまま進むと、この『新世界より』に出てくるような状況になってしまう可能性もあることを示唆しているようにも思えます。具体的にどんな状況になってしまうのか、そこはみなさんの目で確かめてほしいと思います!

 

3-2 人間とは何なのか?

このアニメの中では、化けネズミと呼ばれる、人間と同等と言ってもいいくらい知能のある生き物が登場します。彼らは、二足歩行で言葉も喋り、集団を形成してコロニーを作り、戦争をしたりもします。「人間と化けネズミの違いは何なのか?」そんなことを考えさせられるようになります。

また、人間について考えさせられるものの中に、「業(ごう)」というものがあります。原作者の貴志さんもこのように語られています。

自分が原作で一番描きたかったこと、誰もが持つ人間の"業(ごう)"のようなものを大切に描いてほしいと思います。

(公式ホームページより)

「業」とは何なのか?「業」とは、「人間の行為」です。良い業も悪い業もタネとなって、その人のもとで不滅することなく残り続けます。第2話では、悪い業を積み重ねてしまい、「業魔」になってしまった逸話が語られています。「業」というものは、化けネズミにはなくて、人間にだけあるものなのだろうか?そんなことも考えたりしながら観てみると、より味わい深く鑑賞できるのではないかと思います!


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(出典:公式ホームページより)

 

 

 

まとめ

いかがでしたか?

原作者の貴志祐介さんは、インタビューの中で、この作品は30年以上かけて小説を完成されたと仰っています。30年という数字を見たとき、驚愕しました。そんなに長い期間をかけて1つの作品を作り出したのかと。そりゃ、その小説を原作としたアニメの中にも色んな思いが詰め込まれているわけです。

最後まで見通せば必ず得られるものはあります!是非最終話の最後まで観てほしいと思います!因みにアニメは2回通して観たのですが、内容がはっきり分かる2回目のほうが観終わったあとの喪失感がハンパなかったです(笑)

また今後ネタバレを含んだ更なる考察もしていこうと思っています。小説は未読なので、早く読まなければ…!!

新世界より』を観て、新たな知見を得ましょう!